大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和家庭裁判所 昭和51年(少)1942号 決定

少年 T・Y(昭三六・六・二四生)

主文

少年を初等少年院に送致する。

本件強制措置申請を却下する。

理由

(非行事実)

一  少年は昭和五〇年三月八日より教護院埼玉県立埼玉学園に措置入園しているものであるが、保護者の正当な監護に服しない性癖があつて無断外出を反覆し、この間後記のごとき窃盗、道路交通法違反等の非行を繰り返しており、このままの状態ではさらに罪を犯す虞のあるものである。

二  少年は

(イ)  昭和五一年五月一九日、越谷市○○○○××××番地○生○子方において同人所有の現金二、五〇〇円を窃取し

(ロ)  同年同月二〇日、同市○○○×-×-×○藤○江方において同人所有の現金一、五〇〇円を窃取し

(ハ)  同年同月二一日、同市○○○×-×-×○原○吉方において同人所有の現金四、五〇〇円を窃取し

(ニ)  同年同月二三日、同市○○○×-×-×○井○治方において同人所有の現金三、五〇〇円を窃取し

(ホ)  同年同月二四日、同市○○○×-×-×○村○枝方において同人所有の現金二八、〇〇〇円を窃取し

(ヘ)  同年同月二六日、野田市○○×番地付近道路上において、公定委員会の運転免許を受けないで、第一種原動機付自転車を運転し

(ト)  同年六月二四日、越谷市○○○×の×付近道路上において、前同種第一種原動機付自転車を無免許運転し

たものである。

(法令の適用)

一の事実につき少年法第三条第一項第三号イ

二の(イ)ないし(ホ)の事実につき各刑法第二三五条

二の(ヘ)(ト)の事実につき各道路交通法第一一八条第一項第一号第六四条

(処遇)

少年は小学校低学年当時から非行が発現し、昭和四六年六月一五日から昭和四九年三月二六日まで二年九ヶ月埼玉学園に在園したが、退園後も非行がおさまらないため、昭和五〇年三月八日から再び同学園に入園現在に至つたものであり、この間無断外出を繰り返しその都度非行を重ねており、少年の教護院生活は相当長期に亘つており、現在では既に教護の限界に達しているものと認められ、少年の育成のためには初等少年院に収容して規律ある矯正教育を施す必要があると判断される。

(強制的措置申請に対する判断)

本件は、当初埼玉県越谷児童相談所長から、少年に対するぐ犯(強制措置申請)事件として当裁判所に送致係属するに至つたが、その後前記認定の窃盗、道路交通法違反事件が送致され併合審理されることになつたものであり、少年に対する処遇としての前記のように初等少年院に収容保護となる以上少年に対する強制的措置の必要はなくなり、従つて前記児童相談所長の少年に対する強制的措置をとることの許可を求める申請は理由がない。

よつて、少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第一項少年院法第二条第二項を適用し、少年を初等少年院に送致し、少年に対する強制措置申請はこれを却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判官 小池二八)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例